多くのオンラインビジネスは、売上が低い場合、オンライン消費者の行動を理解することに力を入れるよりも、ショッピングカートの放棄率が高い原因を分析することに焦点を当てる傾向があります。
定量化可能なデータを活用して、ユーザーインタフェースの再設計やコンテンツの見直しなど自社のEコマースサイトをある程度変更することができますが、顧客の全体像を把握するには、購入にいたるまでの全体の行動を把握する必要があります。
2019年の第2四半期において、世界のEコマースサイトへのアクセスのうち、わずか2.58%が購入へと繋がりました( 英語資料)。言い換えると、サイト訪問者が34人の内、商品を購入したのはたった一人だったということになります。
視点を変えて、「閲覧から購入までの過程で何が上手くいかなかったのか」を特定することで、購入を完了しなかったユーザーをビジネスチャンスとして見ることができます。以下4つのステップに従って、購入をためらうオンライン消費者をどのように後押しをするか、実施できるプランを作成しましょう。
Eコマースサイトの探索中、買い物客は通常、ニュースレターの購読、カートの放棄、特定のカテゴリの閲覧など、サイト上で様々な行動をとります。マーケターは、機械学習を活用してこれらの行動を分析し、顧客の行動と関心に応じて顧客をセグメント化します。
次に、AIを搭載した顧客エンゲージメントプラットフォームを使い、事前に定義されたターゲットセグメントを選択し、ターゲットオーディエンスにメールを送信します。
例えば、田中さんがあるファッションサイトのドレスを数着閲覧した後、このサイトが発行するニュースレターに登録したものの何も購入せずにサイトを離れたとします。田中さんに今後もサイトに来訪してもらうため、サイト上の人気ドレスやファッションのコーディネーションに関するアドバイスなどのメールを配信することができます。
人間の行動にはつねに理由があり、消費者行動も例外ではありません。顧客がサイトを離れたり、購入を停止したりする理由は何か考える必要があります。
顧客の行動パターンと関心に関する自社データとサードパーティデータを組み合わせて、機械学習を適用することで、価格、商品の在庫切れ、購入ページの不適切なデザインなど、問題を明確にすることで行動に対する理論的根拠を分析します。
可能な原因を突き止めたら、適切なチャネルを介してパーソナライズされたコンテンツで顧客を継続的に接触できます。Wirecardのレポート「International Holiday Shopping Report 2018」によると、アジアにおける買い物客の90%がアプリ、モバイル、パソコン、実店舗すべてを利用して購入前に価格を比較をしていることが分かりました。そのため1つの重要な決定は、適切なチャネルと適切なメッセージの組み合わせを特定することです。
例えば、田中さんがアパレルサイトを閲覧し、カートにパーティードレスを追加した後サイトを離れたとします。データによると彼女は外部のサイトで最近、忘年会パーティーに適したドレスに関するブログを閲覧したことが分かったとします。この情報を基にパーソナライズされたレコメンデーションをプッシュ通知で送信することができます。カートに追加したドレスに関するコンテンツの他にも、そのドレスに合った靴からクラッチバックまで、全体のファッションを完了させる内容の広告メッセージを送信することが可能です。
プロモーションが適切に行われている場合、追加の収益を得られる可能性があります。それを達成するためにも購入をためらう買い物客をターゲティングすることが重要です。
すでに購入を決心した顧客、または購入意図が全くない顧客の場合、時間と予算を無駄にする必要はありません。購入を迷っている見込み客は、ちょっとした後押しが必要なだけかもしれません。
高度な機械学習を使用して、ユーザーのサイト上での行動を分析することで、購入を迷っている顧客を特定することができ、意思決定を促すプロモーションを実行することができます。
さらに、最も適切なインセンティブを提示するためにA/Bテストを実行し、機械学習を使用して様々なオファーのコンバージョン率を予測することができます。
日本の大手Eコマースファッションサイト、 アーバンリサーチアウトレット(URO)は、機械学習を活用して、インセンティブがあれば購入を完了させる可能性が高いが購入を迷っている顧客のセグメントを作りました。このセグメントグループに送料無料クーポンを提示することで、UROはモバイルでのコンバージョン率を242 %増加、収益を70%増加することに成功しました。
消費者は少なくとも2~3台のデバイスを所有しており、常時ネットワークにつながっています。こうした消費者を適切にリターゲティングするためには、それぞれのデバイスでのユーザー行動を識別できることが重要です。ディープラーニングを活用してユーザーの複数のデバイスでの使用パターンを分析し、全体的な顧客ビューを構築することで、ユーザーがサイトの閲覧、検索、購入等サイト上での行動をどのデバイスでいつ実行するかを見つけるのに役立ちます。
例えば、田中さんは通勤中にモバイルで情報を検索し、昼休みにパソコンを使って検索を再実行、夜遅くにモバイルで購入を行う行動パターンが多いことを把握できれば、夕方ごろ「赤いドレスの在庫がそろそろ切れます!今すぐ購入を!」などアプリ内広告メッセージをモバイルで送信することが有効です。このような関連のあるメッセージを送信することで、効果のないメッセージや、無駄な広告費を削減することができます。
世界中の消費者は、2019年中にオンラインで約3.46兆米ドルを費やすと推定されこれは2018年と比較して18%増加しています( 英語資料)。年末年始の連休セールを機に、消費者は通常以上に購入をしています。ぜひ上記で紹介した、「購入をためらうオンライン消費者の意思決定を後押しする4つのステップ」を活用してみてください。
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