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マーケティングにおけるCDPの8つの使用例

作成者: Appier|Jun 21, 2024 6:08:31 AM

「CDP(カスタマーデータプラットフォーム)」は現在、ビジネスの世界で最も注目を集めている流行語のひとつですが、それには相応の理由があります。CDPは、デジタル変革を進め、マーケティング施策を強化している企業の多くの成功事例の中心(英語ページ)となっています。

CDPは、ファーストパーティデータを外部のデータベースやダウンストリームのマーケティングチャネル、MA(マーケティングオートメーション)ツールと接続することで、複数のデータソースを一元化します。この一元化されたデータ基盤により、Treasure Data、 Tealium、AppierのAIRIS等の大手CDPは、顧客プロファイルを充実させ顧客一人ひとりの360度ビューを提供しています。この統合ビューが、マーケティングのパーソナライゼーションを強化し、より良い顧客体験と成果を生み出します。

データサイロを解消して一元化された顧客ビューを提供するというCDPの技術的側面に焦点を当てた記事は世の中に多く存在しますが、今回のAppierからの記事では、マーケティングファネルの各段階で消費者に影響を与えるためにCDPがどのような付加価値を提供できるかを、8つの実用的な使用例を用いてお伝えします。 

マーケティングファネルの複数の段階に跨って適用される使用例ももちろんあるかもしれませんが、今回は下記8つの例への分類がマーケティング戦略を立てる際にCDPの用途を最も評価しやすいと考えました。

認知段階

マーケティングファネルにおける認知段階は、潜在顧客が製品やサービス、ブランドを認識し始める最初の段階です。この段階では、ターゲットオーディエンスを理解して、注目を集め興味を引くことが重要です。ここでCDPはどのように役立つでしょうか。

360度カスタマービューおよびセグメント

CDPは、あらゆるタッチポイントにおける同一の顧客の痕跡を特定し、チャネル間のデータを統合管理し顧客個人の解像度を上げることで、その本質的価値を提供します。データのサイロ化を解消し、他のシステムと接続することで、包括的な360度の顧客ビューやプロファイルを提供してくれます。

高性能のCDPは、データ分析技術を通じて、共通の特性、行動、好みに基づいて顧客を個別のグループへ分類し、正確な顧客セグメント化を実行します。デモグラフィック、購入履歴、閲覧行動、エンゲージメント指標等の要素を考慮して、意義あるセグメントを作成します。

効果的なファネル上層戦略を構築する際、企業はこうした充実した顧客インサイトとセグメントを活用して、獲得すべき価値の高い顧客を特定し、それに応じたキャンペーンの調整を行えます。高性能のCDPであれば、リアルタイムのデータ更新に基づいて継続的にセグメントの精緻化を実行するので、時間が経過しても精度と関連性を確保できます。

見込み顧客へターゲットを絞った広告配信

CDPを導入している企業は、豊富な顧客プロファイルとセグメントを軸に、メディアやオウンドチャネルのタッチポイントから理想的な顧客のプロファイル、好みのチャネル、行動等を収集できます。カスタムオーディエンス定義をGoogle広告やMeta広告等の主要ペイドチャネルプラットフォームとリアルタイムで直接同期して類似オーディエンスを作成することで、自社の優良顧客に似た顧客獲得を行えます。

さらに、価値の高い顧客の興味関心に関する豊富なインサイトを分析することで、企業は各セグメントに合わせたキャンペーンクリエイティブやコピーを作成できます。こうしたCDP主導のターゲティングとクリエイティブの実行は、認知度やブランド親和性の向上、新規顧客の獲得に効果的であることが実証されています。 

比較・検討段階

マーケティングファネルの比較・検討段階に移ると、ここでは潜在顧客が認識をした後、選択肢を積極的に評価している状況にあります。この段階では、顧客は自分のニーズや課題に対する様々な解決策を調査、比較、検討しています。

ここで企業はCDPを活用して、興味関心や検討事項に基づいてターゲットオーディエンスを分類し、エンゲージメントを深めるような的を絞った施策を打つことが可能です。

パーソナライズされたカスタマージャーニーマッピングおよびMAツール

CDPは、様々なタッチポイントやチャネルにわたるカスタマージャーニーを自動的にマッピングして、顧客体験の全体図を把握し、改善・最適化すべき領域を特定します。情報を視覚化することで、マーケターは顧客体験がどの程度良好かをより深く把握し、カスタマーライフサイクル全体における主要タッチポイント、課題、改善領域を特定することができます。

マーケターは、CDPから得るインサイトを利用してカスタマージャーニーを最適化し、やり取りをパーソナライズし、顧客のニーズや好みに沿って一貫した体験を提供することで、最終的に高い満足度と評価を創出することが可能です。高性能のCDPであれば、様々なMAツールと接続したり、あるいは同様の機能を提供したりすることで、マーケターがセグメントを有効化し、パーソナライズされたメッセージを即時配信することをサポートします。わずか数回のクリックで簡単にマルチチャネルのトリガーキャンペーンを設定して、すでに関心を示している顧客へリターゲティングを行ったり、顧客からの評価を高める施策を講じることも可能です。この様にMAツールと組み合わせることで、ペイド&オウンドチャネルにおけるタッチポイント全体での各種手動設定の手間が省けます。

洗練されたメディアミックスと効果測定

カスタマージャーニーマップが完成したら、マーケターはCDPを使って、達成したコンバージョンや結果がどのマーケティング施策による成果なのかを正確に評価できます。CDPは、高度なデータ分析およびアトリビューションモデリング技術を通じて、カスタマージャーニーにおいて最も影響力のあるマーケティングチャネルと施策を特定します。

このインサイトにより、マーケターはリソースを効果的に再配分し、マーケティング戦略を最適化し、ROIを最大化させることが可能です。CDPの顧客エンゲージメントの包括的なビューにより、企業はデータに基づいた意思決定を行い、マーケティングのパフォーマンスを向上させ、有効なカスタマーアクションで評価を引き上げ、ビジネスの成長を促進することができます。

購入段階

マーケティングファネルの購入段階では、潜在顧客が購入を決める段階にきています。この段階では、顧客は選択肢を絞り込み、自分のニーズに最適な特定の製品やサービスに対する評価・判断を行います。ここでCDPはどのようにして顧客をチェックアウトページへ送るのでしょうか。

購入予測とパーソナライズされたリターゲティング

CDPは、カスタマージャーニーの初期段階で潜在顧客が取ったあらゆる行動に基づいて、将来の行動を非常に正確に予測することができます。高性能のCDPであれば、各種レポートを通じてパターンや行動傾向を特定して、顧客が製品、コンテンツ、チャネルに対しどのように接しているかについてのインサイトを明らかにすることが可能です。これらのインサイトに基づいて、CDPは予測モデリングを通じて購入の可能性等の未来の行動を予測します。

企業は、購入予測やセグメント(カゴ落ち直後のユーザー等)に関するリアルタイムのインサイトを武器に、販促内容をパーソナライズしたり、カゴ落ちユーザーや予測購入意図が高いセグメントに対し好みの製品を動的に表示してリターゲティングを行うことが可能です。こうした施策が最終的にコンバージョン率と売上の向上に結びつきます。

クロスセルおよびアップセル 

初回購入の後は、CDPを使って最適なタイミング、最適なチャネル、最適な製品またはプロモーションミックスを特定してクロスセルやアップセルに活かすことができます。販売機会の有無や何を売るべきかを特定することは、人間のマーケティング&営業チームだけでは難しいかもしれませんが、CDPの力を利用すれば顧客の購入履歴と行動を効果的に分析できるので、関連する製品やサービスを特定して推奨することが可能です。

継続段階

初回購入はほんの始まりに過ぎません。マーケティングファネルの最終段階である継続段階では、既存顧客との関係を維持・強化して、リピート購入、ロイヤルティ、支持を促進することが大切です。

顧客生涯価値(CLV)分析

CDPは、購入履歴、エンゲージメント水準、その他の要素に基づいて、顧客生涯価値を計算します。CLVの分析により、マーケターはリソースに優先順位を設け、それに応じてマーケティング戦略を調整することができます。

CDPによるCLVの計算方法ですが、購入頻度、平均単価、顧客維持率等の指標を基に、各顧客が企業との関係を通じて生み出すと予想される総合価値を算出します。

離脱防止と信頼構築

CLVと同様、CDPは分析と予測モデリングを通じて顧客が離れる可能性を予測します。CDPを使って顧客の行動とエンゲージメントの指標を分析して離脱のリスクがある顧客を特定することで、企業はターゲットを絞ったオファーや特典、またはパーソナライズされたコミュニケーションを展開する等、顧客維持への積極的な策を講じることが可能となります。

最後になりましたが、CDPは企業による顧客個人のデータ収集・利用方法について顧客へ安心を与える面でも寄与します。GDPRやCCPA等のデータプライバシー法規制に準拠しているCDPであれば、顧客は主体的に企業による個人データの収集・利用について管理ができます。CDP製品を検討する際は、候補のCDPが顧客データを統合管理し、堅牢なデータガバナンスを実行し、顧客のプライバシーと同意管理に対応しているかを確認することが大切です。データプライバシーと信頼が顧客との関係の基盤である今の時代において、上記は企業がCDPを検討する際に考慮すべき重要な側面です。

 

以上、マーケティングにおけるCDPの8つの使用例をご紹介しました。MA機能を備えたAppierのAI搭載CDP「AIRIS(アイリス)」にご興味をお持ちの際は、こちらよりお気軽にお問い合わせください。