この十年でeラーニングのニーズは著しく成長し、その背景には、オンラインでスキルアップを図る個人や会社が急増していることが挙げられます。
ビジネスワイヤの調査によれば、グローバルで見た法人向けeラーニング市場は、2026年に498.7億USドルまで拡大すると見込まれます。アメリカやヨーロッパが 70%以上を占める一方で、アジア太平洋は最も成長率が高く、 一年で20%にも達する見込みです。 Udemy や SkillShare, Coursera などがその一例です。
ポジティブな側面の一方で、この盛り上がる市場の中で生き延びるために何ができるかを考えてみましょう。成功のカギはスマートな戦略と、人工知能(AI)やディープラーニングといった、高度なテクノロジーです。
e ラーニングの普及
eラーニング市場における成長を促進した原因はいくつかがあります:過剰供給されるテクノロジー、優秀な人材を新しく確保したり抱え込みたい企業側のニーズ、より手軽にかつ効率よく学びたいという市場側の要請などが上げられます。
今回の新型コロナ感染症によって人々のオンラインに費やす時間が増加し、市場の成長は加速しました。しかし、eラーニング業界における競争は日に日に厳しくなり、供給サイドが克服しなければいけない課題は山積みです。
その一つに、メンタルの問題があります。eラーニングはまだ比較的新しいコンセプトであり、まだ対面学習が好まれがちです。ひとりだとスキルアップするモチベーションを維持できないこと、今後必要となるスキルが不明瞭であることもそのひとつです。
e ラーニング事業で長期的な成功を収めるには
このような課題を克服するために有効なのは、人気コンテンツをコンパクトに凝縮したコースや、今のワークトレンドを反映したバリエーションに富んだコースを多数提供することです。また、フォーラムやリアルタイムチャットでサポートを提供するのも一つの手です。
eラーニング事業で成功するもう一つの必須項目は、上手なマーケティングです。最高のeラーニングコースであっても、それをマーケティングして適切な人に届けられなければ成功することはできません。また、短期決戦を狙わずに、長いスパンのニーズを先読みすることも重要です。
長期的にわたる成功のための、5つのチェック項目を紹介します:
1)リターゲティングのためのオーディエンスを明確にする
長期にわたる成功とは、eラーニング事業が成長し続けることです。そのためには既存の顧客ベースを拡張する必要があります。リアルタイム入札(RTB)というのは、より多くのeラーニング利用見込み者の目に留まる効率的な方法であり、より広いオーディエンスにアクセスできます。
さらなる効果を狙うには、ディープラーニングを使って自社データを分析し、膨大な行動や興味関心に基づいたオーディエンスのセグメントを行い、取得したルールに基づいて最適なセグメントを組み合わせます。最終的にはディープラーニングはその価値に基づいてセグメントのコンビネーションをランク付けします。
これらのインサイトにより最も価値のあるセグメントに対して最適な広告を使ったリターゲティング施策を実施することで、コンバージョンを促進し、投資収益率(ROI)を改善します。
2)ソーシャルターゲティングを効率化する
ソーシャルメディアはeラーニング事業にとって非常に効果的なツールです。しかし、ソーシャルメディア広告費用がかさむにつれて、「最適なROIのために、どうやったら効率的なセグメンテーションができるのか」を常に自問しなければなりません。
AIは興味関心や嗜好の相関性を特定することでソーシャルオーディエンスの ターゲティングやセグメント化を改善します。同時に、オーディエンスを特定し、重複を排除することで、入札競合を防止して効率を上げます。
3)アップセルのためにオーディエンスのニーズを予想する
既存顧客が再度購入する確率が60%から70%ある一方で、新規顧客の初回購入率は5%から20%であると言われています。つまり、eラーニングビジネスにおいて確固たる顧客維持戦略は非常に重要です。
アップセルは顧客を維持するための優れた手法です。即座に、かつ安定した収益の増加が担保できます。
登録の際の情報や、学習の傾向やコースの人気といった自社データを許諾取得済みのサードパーティーデータと突合することで、既存顧客の自社チャネル外での興味関心を発見し、全方位的な顧客視点を獲得できます。それを利用してより適正なコースや商品をレコメンデーションし、アップセルを促進します。
4)パーソナライズした学習体験を提供する
パーソナライゼーションは商業的に成功するためのカギであり、これはeラーニング市場でも同様です。受講者の過去のパフォーマンスや自身の目標に基づいた特別なコンテンツといった高度にカスタマイズしたコースを提供することで、差別化をはかります。
AIやビッグデータを活用すれば、このレベルのパーソナライゼーションを大規模に展開できます。機械学習は受講者の過去の行動や学習の好み、知識のギャップを勘案して、最適なコンテンツを最適なチャネルで、タイミングよく表示します。
コースのコンテンツの他にも、コースの構成や手法(動画、テキスト、クイズ形式など)や、モジュールごとの長さやプラットフォームもカスタマイズしたり最適化することができます。また、すでに学習済みのモジュールを除外することで、時間を短縮することもできます。
5)適正価格を設定する
eラーニング市場で適切価格を設定することは、そう簡単ではありません。価格を低く抑えれば競争力はつきますが、そのことで提供する内容の質も同程度とみられるのは不利です。
短期間の低価格のサブスクリプションとともにフリーミアムを提供するオファーは、新規獲得や顧客ベースの拡張施策には有効かもしれません。しかし、受講者の興味を継続的に維持して成長を安定させるには、価格で惹きつけるだけでなく、コンテンツを常に革新的で魅力的なものにし続けなければなりません。
上質なコンテンツと継続的な投資によって、学習体験はより充実したものになるだけではなくeラーニングのオファーそのものにプレミアム感を与え、受講者の購入意欲につながります。
eラーニングビジネスで長期にわたる成功を収めるには、適切なコンテンツ、価値、そしてマーケティング施策をバランスよく織り交ぜ、あわせて最新のテクノロジーを活用することが必要です。生涯にわたって学びたいというニーズ、オンライン学習へのニーズは増加する一方です。成功についても、長期的な観点から目標設定をするべきでしょう。
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