世界はデータで溢れかえっており、企業はこれまで以上に多くのソースからデータを収集し、分析することができるようになっています。しかし、マーケターとしては、より効果的なキャンペーンを行うためには、「量」よりも「質」の高いデータを優先した方が良いでしょう。
さらに重要なことは、データは顧客について多くのことを知ることができる一方で、顧客のプライバシーの権利を侵害する危険性があるということです。 では、顧客のプライバシーを侵害することなく、データを最大限に活用するにはどうすればよいのでしょうか?その答えは、ファーストパーティのデータを使うことです。
ファーストパーティデータとは、 そ れぞれの企業が社内で保有している顧客情報や購買履歴、ウェブサイトの アクセスログ など自社で収集したデータのことです。
自社のウェブサイト、アプリ、CRM、ソーシャルメディア・チャネルなどから収集した顧客の動向、行動、興味に関するデータを含むオンラインデータと、顧客アンケート、問合せフォーム、コールセンターを通じて収集されたデータおよびCRM内の顧客情報などのオフラインデータが含まれます。
ファーストパーティデータは、特定の顧客から個人情報利用規約への同意を得て収集したデータです。また、データを収集する際に何を測定するか、その目的が明確なため、現在の顧客の正確な特性や傾向を把握できます。
ファーストパーティデータには、商品購入、アプリのダウンロード、アプリ内でのアクション、ソーシャルメディアでのやり取り、購読など、非常に多様な情報が含まれます。これらを精度高く分析することで、マーケティング施策に活かせる情報として使えれば、マーケッターにとってより価値のあるデータとなります。
特定の顧客層の過去の購入履歴や興味のある分野に関する情報から、継続的に購入してくれる顧客をターゲットにすることができます。これにより、多くの企業が自社のウェブサイトで行っているように、顧客が閲覧したり購入した商品を把握したうえで、それらに関連したパーソナライズした お勧めのコンテンツ をサイトに表示することができます。
例えば、スポーツアパレルの企業であれば、新しいタイプのランニングシューズの訴求のためには、ファーストパーティデータなどを 分析してセグメンテーションすることで 、過去に同じようなスタイルのランニングシューズに興味を示したり、購入したりしたことがある人に向けて的確なマーケティングを行うことができます。
ファーストパーティデータでオーディエンスをターゲティングすることには期待が持てますが、マーケターや広告主はそれを完全に活用するのに苦労しています。最近の調査では、10人に4人以上のマーケターが自社のファーストパーティデータの可能性の40%以下しか活用していないことが明らかになりました (英語資料) 。その理由をいくつか挙げてみましょう。
―適切なテクノロジーが不足している
ファーストパーティデータをよりよく活用するには、機械学習のような人工知能(AI)技術を使うことが効果的です。残念なことに、その技術とそれを活用するためのノウハウを有する企業は多くありません。もしあなたの会社がそのような会社であれば、そのようなツールを提供している企業を見つけて、どのように役立つかを確認してみてください。
―首尾一貫したデータ戦略がない
データの潜在能力を最大限に引き出すためには、データから何を引き出したいのかを明確に理解する必要があります。明確な目的を持たずにやみくもにデータを収集しても、マーケティングキャンペーンには何の役にも立ちません。
―不都合な情報に耳をふさぐ
例えば、貴社の予算をかけたキャンペーンがその目標を達成できていない場合を考えると、御社が収集したデータはそのキャンペーンに必要な内容を含んでいないかもしれません。経験豊富なマーケターは、自社の戦略についての不都合な真実を知ることを躊躇しません。常に進化し続ける市場の課題を明確に理解し、より良く適応することができます。
―単一の顧客ビューを構築できない
ファーストパーティのデータは、さまざまなチャネルから得られる可能性があります。それを最大限に活用するには、1人の顧客の複数のプロファイルを1つに統合し、単一の顧客ビューを構築する必要があります。そうすれば、適切なタイミングで適切なメッセージを送ることができ、同じようなメッセージを何度も送って顧客に不信感を持たれるリスクを回避することができます。
データをどのように活用するかが鍵となります。そして、機械学習の助けを借りれば、予想以上に早くその潜在能力を最大限に引き出すことができます。
―正確な顧客セグメントを作成する
機械学習を活用してデータを分析し、顧客に関する洞察を引き出し、顧客についての理解を深めることができます。これにより、御社と顧客とのこれまでのやり取り、顧客の興味、購買履歴などに基づいて異なるグループに分割し、オーディエンスをセグメントすることが可能になります。
―広告費を最適化する
盲目的に顧客をターゲットにしても効果の出る施策にはなりません。逆に、あなたの広告費を無駄にするだけです。顧客の興味・関心を理解し、購入する可能性が最も高い人を把握することが重要です。これを行うには、これらの様々なセグメントのコンバージョン率を予測し、ランキングによって最も価値のあるものを識別するためにディープラーニングを使用することができます。そしてそれらのセグメントに広告費を集中して投下することで、ROIを向上させることができます。
―個人的なものにする
顧客の興味やキーワードに基づいて、製品のおすすめなど、ウェブサイトをパーソナライズすることで、より直接的に顧客にアピールすることができます。彼らは毎回あなたのサイトのレシピセクションに直行しますか?そのような顧客に対しては、例えばレシピを前面に出したり、閲覧したレシピに必要と思われる食材を推薦するウェブプッシュを送信したりしましょう。これにより顧客があなたのブランドについて気に入ったものを探す手間が減るため良い印象からリピーターになる可能性が高まります。 さらにプッシュ通知、Eメールキャンペーン、コンテンツマーケティングなど、適切なタイミングで適切なデバイスにメッセージを送ことができるため、パーソナライズしたチを加えることもできます。
―似たようなオーディエンスを作成する
オフラインとオンラインの両方のファーストパーティデータを活用することで、似たような特性、行動、興味を持つ新しいオーディエンスを見つけることができ、リーチを拡大することができます。