テクノロジーの導入が加速度的に進んでいる金融業界では、デジタルファーストの消費者はスマートフォンでローンを申請し、スワイプするだけで新興市場に投資することができるようになりました。アジア太平洋地域の金融機関にとって、こうした消費者の期待に追いつくことは簡単ではありません。このブログでは、3つの主要な消費者トレンドが金融業界をどう変えたのか、また金融機関がどのように人工知能(AI)の力を活用して消費者の期待を超え、ロイヤルティを高め、コンバージョンを増やすことができるかをご紹介します。
動きの速いデジタルの環境に慣れ親しんだアジア太平洋地域の消費者は、迅速なサービスとリアルタイムのエンゲージメントに貪欲です。80%以上の消費者は、 企業が24時間以内に問合せに応答することを期待していますが、そのうち56%は3時間以内に応答することを期待しています。
金融機関にとって消費者の期待に十分に応えることはできておらず、コールセンターはしばしば着信メッセージの量と格闘しています。さらに、迅速な回答を可能にするための情報が、問合せの情報に欠如していることが多く、消費者が期待するパーソナライズされたアドバイスを提供することを妨げることがあります。
常時オンラインに接続している顧客のニーズを満たすため、マーケティング担当者はAIツールに注目しています。AIツールは、リアルタイムデータと予測分析を活用して、コンシューマージャーニーのあらゆる段階でプロアクティブな推奨とパーソナライズされたサービスを提供します。
たとえば、リテールバンキングでは、AIを活用した仮想アシスタントとチャットボットが、消費習慣の管理に役立つ、パーソナライズされたリアルタイムのアドバイスで顧客をサポートします。 このようなアプローチは、金融ビジネスが顧客の期待に応えるのに役立ちますが、特にクロスセリングや新製品の開発に関しては、全体的な効率を向上させる強力な360度のインサイトを入手することができます。
とはいえ、すべての消費者が今まで以上にパーソナライズされたメッセージを評価するわけではなく、一部の人にとっては、むしろ不要な場合もあるのです。ここでAIは、ブランドがユーザージャーニーの各段階で果たすべき役割を特定し、ユーザーの関心や行動に基づいた最善のエンゲージメントを理解するのに役立ちます。
デジタルデバイスやネットの利用に精通した消費者は、単なる商品やサービスの販売だけではなく、信頼に基づいてカスタマイズされたエンゲージメントを求めています。アクセンチュアが実施した 最近の調査では、消費者の10人に6人が、ニーズに見合った金融サービスを提供してもらえるのなら、重要な個人データを提供してもいいと考えていることがわかっています。
正しくアプローチすることで、消費者から金融機関へのデータ共有は双方にとってメリットがあります。
AIを使用して数百万のデータポイントを分析することにより、金融ビジネスは個々の顧客の支出パターンと行動に関するインサイトを迅速に獲得し、それらを活用して瞬時にパーソナライズされたサービスを提供できます。 例えば、さまざまな種類の保険を提供する保険会社を想像してみましょう。 保険会社は、自動車保険を探している新車の所有者を引き付けようとしています。
AIを使用してウェブやモバイルデバイスでの行動データ、支出習慣、職歴などのさまざまな要因を分析することで、潜在的なクライアントに、財政とライフスタイルに応じた最適な保険プログラム関する提案が可能になります。
サードパーティのデータを分析すれば、ユーザーが新しいアパートを購入したことや、医療保険に関する記事を読んでいるなど、自社サイト外の行動や興味を発見できます。このようにユーザーを洞察することで、製品の推奨事項をパーソナライズしてユーザーの共感を高めることができます。
マーケティング担当者がこのような付加価値を実証し、具体的なメリットを提供することで、消費者のより一層のエンゲージメントを促すことができます。
「プライバシーとパーソナライズ」の議論は今日のマーケティング担当者が直面している最大の課題の1つです。 顧客はよりよい顧客体験を受けるためにパーソナライズを望んでいますが、行動追跡に関しては不快感を抱き、「不明瞭な」データ使用を心配しています。
金融サービス提供会社にとって、消費者の金融セクターへの信頼がはるかに高いことは朗報といえるでしょう。調査対象の消費者の10人中6人は、より良い取引と引き換えに、自分の位置データやライフスタイル情報などの重要な個人情報を銀行と共有することを気にしません。
ただし、金融機関はこの状況に頼ることはできません。
世界中で多数のデータ侵害が発生していることを受けて、プライバシーはホットなトピックであり、消費者は自分がやり取りする企業がデータを保護するためにどのような措置を講じているかにこれまで以上に関心を寄せています。
データのプライバシーを管理する厳しい規制の範囲内で、倫理的にデータを収集することは、消費者の信頼を獲得するための基本です。
しかし、価値の高いデータを対象とするサイバー犯罪者によってもたらされる脅威もあります。
シスコによると、アジア太平洋地域の 企業は毎分6つのサイバー脅威を受けています。一見するととても心配ですが、サイバーセキュリティはAIを適用することで強固なものとなります。過去の顧客の行動に基づいて行動パターンを予測することで、AIは潜在的な脅威を識別し、発生する前に詐欺を防ぐことができます。
金融セクターは多くの顧客データをAIに委ねているため、AIの担当者はデータに関する課題に立ち向かい、消費者と企業をデータ損失から保護する必要があります。そうすることで、金融セクターは、個々の特定のニーズを満たすこれまで以上に効果的な顧客体験を提供できます。