Appierは2017年6月に、CrossX プログラマティック・プラットフォームで提供している「CrossXターゲティング」の機能を強化し、LTV(顧客の生涯価値)最適化を実現しました。
AppierのCrossXプログラマティック・プラットフォームに搭載されている機械学習・深層学習エンジンを強化することで、顧客企業のデータおよびAppierが保有するデータベースから、LTV(顧客の生涯価値)が高いユーザーの抽出およびグルーピングを自動化させると同時に潜在顧客の分類・抽出や購買予測の精度を高めることができました。
Appierがプログラマティックの領域においてユーザーセグメント及びターゲティングの機能を強化した背景には、消費者のライフスタイルの多様化、デジタルメディアの普及、加えて個人情報の取り扱い規制強化により、消費者の行動パターン把握が困難になっていることがあげられます。さらに最近の傾向として、消費者1人あたりの利用デバイス数が増加し、一方でその利用の仕方がバラバラなため、広告主が個々のユーザーへリーチすることががより複雑になっていることもあげられます。
また、ブランドやEC業界では、マーケティングの指標がトライアル商品の提供やクーポンなどを通しての初回接触(新規顧客獲得)だけでなく、より長期的な関係性を重要視するLTVへシフトしています。広告主は、新規顧客の開拓を行いながら、長期にわたり継続的に商品購入してくれる顧客との関係も構築したいと考えており、プログラマティック施策に対しても、従来の画一的な「趣味嗜好」で区分したターゲティングではなく、「人」に対するマーケティングのニーズが高まっているといえます。
そこでAppierは、LTVが高いユーザーの行動パターンをAIが精度高く分析・抽出することで「ディープファネルの最適化」を可能にする技術を開発し、この度提供することとなりました。
「ディープファネルの最適化」とは、消費者のインターネット上での振る舞いを分析すること。Appierは、AIによりこの「ディープファネルの最適化」を行い、抽出した「オーディエンス(人)」に対し、メディアやデバイスを横断して最適な広告配信(クロスデバイスターゲティング)を実施します。これは独自のAIに加えて、Appierが創業以来構築してきた消費者のデバイス所有および利用に関するデータによるCrossXデータベースおよびクロスデバイスキャンペーンの豊富な経験が可能にしています。
Appierでは、AIを駆使することでディープファネルの最適化を行い顧客の行動を分析し、「LTV予測モデル」を構築します。それをマーケティングキャンペーンに適用することで、膨大なルールからパターンを見つけ出し、このLTV予測モデルの精度を上げていきます。上記のキャンペーンから抽出した高LTVユーザーの分析を行うことで、獲得の勝ちパターン(LTVの要因のランク)を見つけ出し、そのパターンを予測モデルに反映し、繰り返し学習を進め、さらに精度を上げます。
つまり、キャンペーンの実施ー>キャンペーンデータにAIによる予測モデルを適用ー>ランクデータ(再学習データ)の抽出といったプロセスを繰り返すことで、目的に合致したユーザーを抽出することができます。
これはひとつの事例ですが、化粧品・健康食品の製造および販売を行う、日本有数の通信販売企業において、2017年10月から2018年3月の6ヶ月間、この機能を強化した「CrossX ターゲティング」をテスト導入しました。その結果、広告キャンペーンにおいて、主要なSNSベンダー数社の施策と比較して、月平均の1ユーザー当たりの平均購入金額が最大3倍となり、LTVスコアは約60-90%程度高くなりました。これは、ユーザーの動きや購買トレンドをAIを使って分析し、その結果をクロスデバイスを通じた季節限定のキャンペーン施策などに反映させることで、購入機会を的確に捉え、収益に貢献できることを示しています。
また、Appierが4月25日に発表した 「日本版インターネット消費者動向調査」において、企業は単一のデバイスを通じてのマーケティングキャンペーンよりもクロスデバイスでのキャンペーンのほうが3倍以上高いコンバージョンを達成するという結果が出ています。
消費者のデバイス利用を理解した上で、ベストなタイミングで最適なメッセージや広告を配信したいブランド企業やEC事業企業にとってディープファネルの最適化による高LTV顧客の獲得は、取り組む価値のある施策です。