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AIの活用でリスク管理と潜在的な顧客の発掘を同時に実現

アジア太平洋地域(APAC)の金融サービス業界における人工知能(AI)の導入増加は、企業の顧客獲得、サービスの改善のみならず、セキュリティー面でのリスクを軽減できるという利点があります。

ディープラーニング の進歩により、企業は潜在的な顧客のオンライン上での全体像を把握することができるようになり、クレジットカードやローンなどの金融サービスを提供するに当たって、潜在的な顧客の発掘やアプローチのために精度の高い判断を下すことができます。

2018年のAPACにおける銀行業界の収益は約1.6兆米ドル、利益は約7000億米ドルで、世界の銀行における税引前利益の37%を占めました( 英語資料 )。

APACのクレジットカードとローン市場は成長の可能性を大きく秘めています。なぜならば、アジア太平洋地域の多くの国では普及率が低いにもかかわらず( 英語資料 )、この地域は世界のクレジットカード支出の約半分を占めているからです( 英語資料 )。

また、将来の利益拡大にとってクレジットカードの顧客獲得がますます重要になってきます。 金融業界での顧客獲得におけるAIの役割は大きく、AIツールを採用する企業は増加傾向にあります。また、銀行などの金融機関は、クレジットカードやローン商品を通して顧客のポートフォリオを拡大したいと考えています。 小売業に次いで、銀行業はAIに投資する2番目に大きな業界であり( 英語資料 )、56億米ドルが詐欺や恐喝の防止やそのための分析などのソリューションに投資されると予想されます。

中国や韓国では、すでにAIを使用した取り組みで道を開いています。中国のフィンテック企業は、AIを導入して個人間の融資顧客を獲得し、信用リスクを管理し、債権回収のコンプライアンスを確保することにより、インドネシア、ベトナム、フィリピンなど、進出が今まで困難とされていた東南アジア市場をターゲットにしています( 英語資料)。

一方、2018年に韓国政府は2022年までに20億米ドルをAIの研究開発に投資することを公表しています( 英語資料 )。  

1. 選択的かつ正確に

  顧客獲得と関係構築におけるAIの役割は2つあります。

金融機関はAIのディープラーニング機能を使用して、ターゲットオーディエンスの全体像を把握できます。

この利点は、AIのデータが多いほど、その予測と決定が改善されることです( 英語資料 )。

成果を出すには、AI搭載のデータサイエンスプラットフォームを使用して、顧客の取引履歴、キャンペーン結果や顧客活動などの過去の顧客データを結合し、すべてのデータを選別して複数のデバイスにわたるユーザーの行動を分析し、顧客の全体像を描きます。

こうしたプロセスから導きだされたインサイトを使い、金融サービス企業は顧客が利用しているデバイスに適切なタイミングでメッセージを送ることが可能になります。

より深く顧客を理解するために、ディープラーニングを使用して、自社サイトやアプリだけでなく外部のウェブサイトでのサードパーティのデータを追加し、顧客の興味や意図を分析します。

これは、ライフステージを正確に特定するのに役立ちます。

たとえば、リテールバンクは、より良い品質の衣料品を検索し、購入している20代のキャリアウーマンを探しているかもしれませんが、金融機関は、新興国で起業家精神の兆しを見せている顧客をターゲットにしたいかもしれません。

このようにデータを収集できれば、顧客の興味、意図、ライフステージの特性に基づいてオーディエンスセグメントを作成できます。

ディープラーニングは、将来のコンバージョン率を予測し、クレジットカードまたはローン商品にコミットする可能性が最も高いセグメントを特定できるので、これらのセグメントへの広告費用を最適化することが可能です。

AIが提供するインサイトは、パーソナライズされた広告を作成するために効果的で、関係構築を促進します。 たとえば田中さんは、自動車ローンを完済したばかりで、新しいアパートと固定資産税の購入に関する記事を読んでいます。

このことから彼は近い将来、住宅ローンの潜在的な顧客となるかもしれません。そのため、電子メールを介した関連情報を含むコンテンツや、ウェブプッシュを介した住宅ローンの低金利の広告は、田中さんとの関係構築ができる可能性があります。

さらにIは、継続的な顧客エンゲージメントと関係維持にも貢献できます。

過去のキャンペーンに対する顧客エンゲージメントの施策とその反応を追跡することにより、キャンペーンの展開に最適な時期や最も効果的なマーケティングチャネル(アプリプッシュ通知、EDMまたはウェブプッシュなど)、および最も有効性の高いクリエイティブ資料を特定できます。  

2. リスク評価

  潜在的な顧客を見つけ出すことも重要ですが、広告詐欺を防ぐことも同様に重要です。 AIツールは、リスク管理および不正検出部門でのコスト削減手段を提供できます。

金融サービス会社はすでに大量のデータを処理して分析するAIの機能を使用して、不正行為を示す可能性のある異常な取引にフラグを立てるなど、不正行為を示すパターンを見つけています( 英語資料 )。

  AIは、潜在的な顧客をはじめにリスク評価してからマーケティングを行うことができるので、顧客獲得をリスク面でもサポートすることができます。従来の評価方法は、クレジットカードとローンプロバイダーは収入、既存の債務、返済履歴などの要素で評価していましたが、AIは、消費習慣やライフスタイルから財産所有権、保険金請求、その他の個人的な指標に至るまで、補足データを使用してさらに視点を追加できるため顧客のリスクレベルの評価に貢献することができます。

  金融サービスは多くのデータを取り扱う業界であり、AI投資とコスト削減という複数のメリットを享受できる業界です。データを分析して行動を予測するAIの機能により、データを顧客エンゲージメント領域、またリスク評価と脅威防御の一部として活用できるようになります。

フィンテックへの投資が成熟している時期であっても、アジア太平洋地域のこの業界をより効率的かつ効果的な活動に導き、さらに競争力高めるためにAI加えた業務プロセスとソリューションが、ますます普及するでしょう。

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