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パフォーマンスマーケティングは決して新しいコンセプトではありませんが、最近また、その重要性が改めて認識されています。
新型コロナ感染症はいくつかの産業に警鐘を鳴らしました。世界中の企業が回復策を模索する一方で、危機感を持ち続けている企業もあります。 World Federation of Advertisers(WFA)が実施した調査では、グローバルの広告予算は2020年の最初の半年間に36%の減少、年間では31%の減少になると見込まれています。
予算が減少すればそれだけ、費用対効果が注目されます。パフォーマンスマーケティングは広告予算の使い道を正確にトラックできるので、効果を最大化することにつながります。つまり、より少ない予算でより効率的なキャンペーンを実施することができます。
パフォーマンスマーケティングとは
パフォーマンスマーケティングによってマーケターは、まず一定のアクションを決定し、それが実現した場合にデジタル広告プラットフォームへ支払いをします。ここでのアクションには、クリックやサブスクリプション、購入やダウンロードなどが含まれます。
パフォーマンスマーケティングには、いくつかの種類があります。例えばネイティブ広告は、メディアサイトがよく掲載する編集コンテンツに類似した構成やコンテンツをそのプラットフォーム上に展開します。別の手法としてはスポンサー広告というものがありますが、これはネイティブ広告というよりもプロモーションコンテンツのように、より巧みに表示されます。
編集記事により溶け込むパフォーマンスマーケティングもあります。成功報酬型広告のように、顧客を他の企業への紹介記事へと誘導し、顧客がその企業から購入するたびにコミッションが支払われます。例えば、ニュースサイトのお勧めロードバイクの記事に、各バイクを扱う企業のリンクを掲載するといった手法です。
また、ソーシャルメディアや検索エンジンなどのように、ウェブになじみやすい媒体をうまく利用するパフォーマンスマーケティングもあります。ソーシャルメディアプラットフォームの広告はCTR(クリック率)やCPC(1クリック当たりのコスト)、あるいはROIなどのKPIを測定しつつ、自社を利用する顧客の検索キーワードを特定し、そのキーワードの横に広告を表示します。
パフォーマンスマーケティングのメリットとデメリット
予算が厳しくなるほど、どこに投資したのかのトラッキングが重要です。パフォーマンスマーケティングの最も大きいメリットは、ROIを測定する能力です。キャンペーンデータを分析することで、広告が効率的に回っているのかをすぐに確認することができ、それに応じた費用の最適化ができるからです。
また、キャンペーンの導入前にキャンペーンの費用を予測できるので、費用の適正化とリスクの最小化につながります。つまり、実施した中で効率の悪いキャンペーンを減らしてコストを管理するといった具合です。
しかし、他のマーケティング戦略と同様に、パフォーマンスマーケティングも万全ではありません。パフォーマンスマーケティングのおかげで膨大な可能性が広がる一方で、多くのマーケターは、そのデータをどうしたら行動インサイトに変えるのかを知らずに、結果として機会を逃しています。あるいは、わかっていても必要なツールが足りていないのです。
一方でアドフラウドは、広告主にとって引き続き大きな課題です。 最近の調査 によれば、アドフラウドに関連するコストは、世界全体で300億USドルにも上るという試算もでています。正しいツールがなければ、広告が本当に本物のユーザーへリーチしたかを知ることはできません。しかもそれによって、パフォーマンスマーケティングの費用が高くついてしまいます。PPC(クリック報酬型)やCPL(見込み客獲得単価)などのより安いメトリックスもありますが、相対的にコンバージョンの可能性も低くなります。なぜなら、広告をクリックしたからといってそのユーザーが必ずしもその商品を購入するとは限らないからです。そして、品質を追求すれば値段はあがります。PPS(売上成功型)のような効果的なメトリックスの費用は、より高いのが通常です。
パフォーマンスマーケティングの最適化
パフォーマンスマーケティングの内容を理解し、その重要さも理解したところで次は、効率的に利用する7つのヒントを紹介します。
1)ターゲティングの精度
正確なターゲティングを確保するために、マーケターにとって望ましいアクションをとるのはどのユーザー群であるのかを知る必要があります。
予測機械学習(ML)は、コンバージョンの可能性が高い顧客へのターゲティングに役立ちます。多層構造の機械学習モデルによって独自データをふるいにかけ、適切なROIを生成するオーディエンスとパブリッシャーを検出し、広告費用をより効果的に使用します。
しかし、これはまだ最初の一歩です。オーディエンスが広告をクリックしたとたん、機械学習はさらにアプリのダウンロード、ウェブサイトの訪問、購入、アプリ内とサイト内行動を発生させるのはどのユーザープロファイルであるかを予測します。ユーザーのウェブサイト訪問、あるいはアプリダウンロードの行動から生成されたデータは次に、最終的な購入やメルマガ登録といった、より深いエンゲージメント行動の予測に使用されます。
このような行動データのすべてが各モデルに訓練のために送信され、各モデルがROIを最大化する顧客を検出するように、システムは学習と改善を繰り返します。
2)ユーザーの興味関心を活用
オーディエンスの幅広い興味関心を知ることは、より注目度の高いマーケティングコンテンツの作成につながります。EC分野では特に重要です。なぜなら、クロスセルの可能性のある商品カテゴリを追加できれば、より利益率の高い製品群への購入意欲のある顧客を引き付ける可能性が強まるからです。
AIを利用すれば、統合された自社データとサードパーティーデータを分析し、オウンドチャネル外の顧客の行動に基づいて、顧客の興味関心のあるトピックやキーワードを決定できます。
例えば、よく自社のウェブサイトで洋服を購入するAさんという顧客がキャンプにも興味があるとわかれば、この情報を活用してキャンプ関連のウェブサイトに広告を出したり、そのトピックと関連するキーワードの横に広告を入札することができます。
また、このデータを使ってAさんのようなロイヤルカスタマーに類似したユーザーを検出し、同じように彼らのコアな興味分野に対してアプローチをかけられるのです。
3)リターゲティング
顧客データを分析することで購入していないウェブサイトの訪問者を特定し、他のウェブサイトで パーソナライズした広告でリターゲティング 施策を実施することもできます。例えば、自社のウェブサイトでジャケットを閲覧したが購入に至らなかったBさんが、自社のウェブサイトを離れた別のサイトで同じジャケットの広告を再掲するのが、ひとつの例です。
4)クロスデバイスターゲティングの活用
ひとつしかデバイスを使わない顧客はめったにいません。複数のデバイスを横断したターゲティングをすることで、適切なデバイス上でターゲティング施策を実施していること、異なる接点ごとに適切なマーケティングメッセージを打ち出せるようになります。
しかしながら、同じ人が所有する複数のデバイスを特定は時に困難です。AIを活用することで、多様なソースからのデータを分析し、シングルカスタマービューを作り上げ、同一ユーザーが使用しているデバイスが特定できます。
フランスのメガマーケットであるカルフールは台湾にオンラインストアを導入した際にAppierのCrossXアドソリューションを採用し、 クロスデバイスマーケティング施策を実施しました。同一顧客が使用しているデバイスを特定し、カスタマイズした商品レコメンデーションを配信しました。これによってオンライン購入数および収入は、前月比で25%増加しました。
5)広告疲れの防止
フリークエンシーキャップ とは、同一オーディエンスにどの程度の頻度で同じ広告を表示するかという問題です。少なすぎると見落される可能性がありますし、多すぎると迷惑になってしまうでしょう。
シングルカスタマービューを作り上げることでより精細なターゲティング施策が可能になり、AIによってさらに、広告の最適な露出度を決める正確なインプレッション回数が導き出されます。 さらに、AIを活用してインプレッション件数の変更に伴う最適な入札価額を決め、最大CTR(クリック率)で最適なキャップを予測できます。
6)アドフラウドの最小化
洗練された今日の アドフラウドに対抗するためには、マーケターはテクノロジーを活用しなければなりません。シンプルで決まりきったルールベースの対応策では足りず、新しいフラウドのパターンを学習し、自動的に改良できるAI搭載のソリューションが必要となります。
フラウドは人の行動を真似ることでより精度を上げてきましたが、AIアルゴリズムは人間の目では気づかない不正行動を発見します。
7)適切なタイミング
コメディと同様に広告にとっても、タイミングが全てです。日中において最も高いCTR(クリック率)が出る時間帯を知ることができれば、複数入札でその時間帯の枠を購入し、見込み客を購入客にコンバージョンする可能性が上昇します。
パフォーマンスマーケティングの活用で、広告費用のモニターやコントロールがより緻密になります。適切なノウハウやツールでデータを正しく活用すれば、今のような不透明な時勢においてもビジネスを安定に保つことが可能になるのです。
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