最先端の深層学習技術を衣料デザインに適用する独自の手法
AI(人工知能)テクノロジー企業のAppier(エイピア、以下Appier、本社:台湾、共同創業者/CEO:チハン・ユー)は、第32回AAAI Conference on Artificial Intelligence(AAAI 2018 https://aaai.org/Conferences/AAAI-18/)において、AIがクリエイティブな世界にも応用できることを示す先駆的な研究を発表しました。AIによって人間が魅力的と感じるようなものをデザインすることは、衣料業界において重要な変革の要素となっています。今回のAppierの研究は、AIがデザイナーの日々の業務を支援する日が近づいていることを示すものとなりました。AAAI 2018は、AIを主題とする世界有数の国際会議の1つであり、今年は2月2日から7日まで米国ルイジアナ州ニューオーリンズで開催されました。
Appierのカイ・ユェン・チャン(Dr. Kai-Yueh Chang)、シュアン・テン・リン(Dr. Hsuan-Tien Lin)などで構成される研究チームは、美しいデザインの事例を観察・学習させることで人間の複数の衣料品を組み合わせたり、デザインする能力を真似るAIモデルを初めて開発しました。同チームは、このモデルを、新しく開発されたProjected Compatibility Distance(PCD)と深層学習技法を組み合わせることで実現させました。PCDは、アイテムの互換性の程度を認識する深層学習技法です。
PCDは、GAN(1)(Generative Adversarial Networks、敵対的生成ネットワーク)独自のアプリケーション上で動作させたところ、何点かの衣料品の画像を入力すると、これまでにない衣料品の組み合わせを提示しました。この出力結果から、AIはデザイナーがどのように多様な衣料品を組み合わせるのか、どのように新しいデザインを作り上げるのかを理解していることがわかります。
(1) Generative Adversarial Networks (GAN) とはGoogle Brain (AI研究部門) のIan Goodfellowが開発したニューラルネットワーク。GANは様々なバリエーションがあり多彩な機能を持っている。GANはニューラルネットワークの技法で二つの対峙する (Adversarial) ネットワークがコンテンツ (イメージや音声など) を生成する。
Appierの共同創業者 兼CEOでもあるチハン・ユーは、次のように述べています。「今回の成果は、AIの創造力を引き出すことに成功した、大きな一歩といえるでしょう。Appierは、創造力をはじめ、生活のあらゆる場面で人間を支援するAIを開発・提供することを目指しています。われわれは創造力においてAIが人間を代替するのではなく、人間の能力をさらに広げる手伝いをすると考えています。Appierは、AIにおける学術研究とビジネスとの垣根をなくす取り組みを行っており、当社の社員による今回の画期的な研究結果は、当社が日々取り組んでいるさまざまな研究プロジェクトの一例です。」 Appierのチーフデータサイエンティストであるシュアン・テン・リンは、次のように述べています。「この論文を作成したチームは、私たちのモデルを適用する対象として衣料デザインを選びました。その理由は、衣料品のコーディネーションには、異なる衣料品を組み合わせることの複雑性と主観性があると同時にビジネスにも応用できる潜在性があるからです。われわれのチームは、アイテムの互換性の程度を認識するCompatibility Distance とGANを深層学習に適用した独自のアプリケーションを使うことでAIの創造力に関する潜在性に関しても紹介しようと考えていました。われわれのモデルが作ったコーディネーションやデザインが人間によるテストに合格したという成果は、今後の研究にとって励みとなるものです。」
『Compatibility Family Learning for Item Recommendation and Generation』と題された全文(英語)は、 https://arxiv.org/pdf/1712.01262.pdfをご覧ください。
Appier について Appier は、AI(人工知能)テクノロジー企業として、企業や組織の事業課題を解決するためのAI プラットフォームを提供しています。