Appier、「アジア太平洋地域におけるクロスデバイス利用動向調査 日本版(2016年上半期)」の結果を発表 デバイス間のユーザー行動はより複雑かつ予測困難に
日本のデジタルデバイスユーザーの半数以上が4台以上の端末を利用
AI(人工知能)テクノロジー企業のAppier(エイピア、以下Appier、本社:台湾、共同創業者/CEO:チハン・ユー)は、最新の「アジア太平洋地域におけるクロスデバイス利用動向調査」の日本版の結果を、2016年9月21日(水)に発表しました。この調査では、日本において一人のユーザーが複数のデジタルデバイス(PC、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ等)を利用する傾向が高まっており、かつユーザーのデバイス間の行動が今まで以上に複雑になってきていることが明らかになりました。
調査結果では、4台以上のデバイスを使用するユーザーが、2015年の下半期から2016年の上半期の間に30%上昇したことが明らかになりました。また、複数のデバイスを利用するユーザーの半分以上(51%)が4台以上保有しており、前回調査時の39%に比べて、12%も増加しています。アジア全体でみると、4台以上のデバイスを使用しているユーザーは平均30%に留まっており、日本のユーザーによる複数デバイスの利用率はアジア全域でも高い数値を示しています。
「最新の調査結果では、日本のユーザーが、増え続けるデバイスを、それぞれ固有の使い方で複雑に使い分けていることが分かりました。すべてのユーザーに均一に効く手法はなく、企業はターゲットに対するメッセージやフォーマットをデバイスごとに考えることが求められています」とAppierの最高売上責任者ファブリツィオ・カルーソは昨日アドテック東京にて述べました。また、「この複雑性を理解することが、日本の広告主に、それぞれのユーザー行動を想定した適切なコンタクトポイントでターゲットにリーチすることを可能にし、総合的により意味のあるエンゲージメントをつくることを可能にします」と付けたしました。
異なるデバイスには異なる広告が必要
利用するデバイスが異なると、広告に対するユーザーの反応も変化します。日本のユーザーの約4割は、利用するデバイスに応じて広告への対応が若干または完全に異なることが分かりました(前回調査時36%)。とくに、広告が表示されるデバイスによって、デバイスごとに全く異なる行動をとるようなユーザーは前回調査時に比べて50%も増加しました。
また、日本におけるクロスデバイスのキャンペーン結果を詳細に見ていくと、日本のマーケッターにとってクロスデバイスに対応することは、これまで以上に重要であることが分かりました。クロスデバイスを想定したキャンペーンは、単体のデバイスのみに向けたキャンペーンよりも79%効果が上がることが明らかになりました。
注目:日本におけるEコマースサイト上の行動
今回の調査では、初めて日本におけるEコマースサイト上のクロスデバイス行動を分析しています。結果、週初めではスマートフォンでEコマースのサイトを閲覧するユニークユーザー数(UU数)が、PCのそれをわずかばかりしか上回っていないにも関わらず、週が進むにつれてその乖離は大きくなる傾向があることが判明しました。同様に、週末にはタブレット経由でのUU数が上昇することもわかっています。
ユニークユーザー数では、スマートフォンユーザーの数はPCユーザーをわずかにしか上回らないものの、ページビュー数(PV数)ではスマートフォンの方が著しく多い結果が出ます。その特徴は週末にかけて大幅に伸びることも判明しました。また、スマートフォンは多くのコンバージョンと購買行動に結びついており、日本におけるEコマースサービスユーザーにとっての主要なデバイスのひとつになっていると言えます。
しかしながら、ユニークユーザーごとのPV数、あるいは1ユニークユーザーあたりの平均PV数では、スマートフォンやPCよりも、タブレットの方が圧倒的に数を伸ばしています。ここから、一般的なタブレットユーザーの方が、PCやスマートフォンユーザーよりも積極的にEコマースサイトを閲覧していることを意味します。
時間もEコマースサイト上でのユーザー行動に影響を与えます。たとえば、9:00頃から17:00頃までは、PCでEコマースサイトを閲覧するユーザーが、スマートフォンのユーザー数を上回ります。この現象はビジネスパーソンの帰宅時には逆転し、スマートフォン経由での閲覧者が増加します。また、1ユニークユーザーあたりの平均では、タブレットはPC・スマートフォンのいずれよりも高いPV数を、一日を通して生み出しています。
スマートフォンが日本のEコマースユーザーにとって主要なデバイスのひとつであることは明白であるものの、広告主は、ユーザーの購入体験に少なからずの影響を与えるPCやタブレットの存在を無視していいというわけではありません。
PC・タブレット:普及台数だけではリーチを計れない
デジタルデバイスの利用動向調査は日本のユーザーにとってPCとタブレットも、依然として重要なデバイスであることを指し示しています。PCが、広告がリーチ可能なデバイス全体の3分の1にしか満たないにも関わらず(1台のPCにつき、スマートフォンは3から3.5台存在している計算になります。これは週のどの日でも変わりません)、ウェブサイトの閲覧時間ではスマートフォンのそれと同数の結果が表れています。一般的に、PCはスマートフォンの3.2倍利用されていることが分かりました。
この現象はタブレットの利用でも、少ない比率ではあるものの、起きています。1台のタブレットあたりのウェブサイトの閲覧時間は、スマートフォンのそれを17%上回り、アプリの利用においても15%高い結果となりました。
また、この調査結果では、タブレットユーザーの多くはウェブサイトを閲覧するよりも、アプリを積極的に利用していることが判明しました。ウェブサイトの閲覧で計ると1台のタブレットに対して16台のスマートフォンに広告がリーチしている計算になる一方で、アプリでは1台のタブレットにつき、スマートフォンへのリーチはわずか5台を上回る結果となりました。
デバイス別利用動向:多岐にわたり、より複雑化
デバイスの普及台数が増加するにつれ、ユーザーのデバイス間の行動は多岐にわたり、かつより複雑になり、その行動を予測することが難しくなっています。
今回の調査では、日本におけるウェブサイトの個人平均閲覧時間やタブレットのアプリ利用時間を初めて分析しました。結果、ウェブサイトの閲覧時間において、タブレットでは10%、PCでは20%、それぞれ女性が男性を上回ることが明らかになりました。アジア太平地域全体では逆の傾向が見られ、一般的に男性の方が、PCとタブレットの個人平均利用時間で上回っています。日本でもスマートフォンによるウェブサイト閲覧時間に関しては、男性の方が多く、スマートフォンアプリ利用でも女性より30%高いという結果が出ました。同様に、タブレットでのアプリ利用においても女性に比べて男性の方が少しだけ高いという結果が出ました。
一日における時間もデジタルデバイスの利用に影響を与えることが判明しました。2015年下半期の調査結果と同様に、スマートフォンの利用は、働く人たちが起床する6:00頃、そして昼休憩をとる12:00頃にピークを迎えます。他方、PCの利用は9:00から10:00の間、つまりオフィスでの過ごす時間において大幅に増えます。双方のデバイス利用は夕方になるにつれて上昇します。
最後に、デバイスの利用は曜日によっても異なります。たとえば日本では、スマートフォンでのウェブサイト閲覧時間は曜日によって変動し、週半ばと週末で大きく数を伸ばす傾向が見てとれます。他方で、タブレットの利用は週末に、PCは週半ばに跳ね上がり、PCに関しては週末に向けて減少する傾向にあります。
Appierの「クロスデバイス利用動向調査報告書」について
報告書は、2016年上半期において日本およびアジア太平洋地域でAppierが実施したキャンペーン、およびAppierサイトタグがエンベッドされたウェブサイトの分析に基づいています。本調査の一環として、広告リクエスト、インプレッション、クリック、そしてコンバージョンを含む1兆以上のキャンペーンデータポイントを分析しました。調査結果に含まれるすべてのデータは実際のユーザー行動に基づいて行われており、アンケート調査等は行われていません。
報告書はこ ちらからダウンロードいただけます。