AIテクノロジー企業のAppierが開催した「Appier Press & Analyst Summit 2018」にて、フランスに本社を置くグローバルスーパーマーケットチェーンのカルフールの電子商取引事業開発マネージャーであるジル・プレスコット氏と、マッチングアプリを提供しているパクトール台湾のゼネラルマネジャー、アレックス・チェン氏が登壇。AIのマーケティング活用事例を紹介した。モデレーターはAppierのCSO、ショーン・チュウ氏が務めた。
左から、Appier CSO ショーン・チュウ氏 カルフール 電子商取引事業開発マネージャー ジル・プレスコット氏 パクトール台湾 ゼネラルマネジャー アレックス・チェン氏
2015年にECプラットフォームを立ち上げたカルフール
台湾だけで103の店舗を有するカルフールでは、2015年にECのプラットフォームを立ち上げることになった。競合他社と差別化しながら、EC化を推し進める必要に迫られていたのだ。オンラインストアを通じてより多くの潜在的消費者にアプローチすることを目標に、マーケティングチームはより多くのオンライン購入を促しながら認知を最大化したいと考えていた。
カルフールでは主にテレビCM、屋外広告、タクシー広告を使っていた。オンラインチームのメンバーの多くも実店舗の運営でキャリアを積んできた者で、デジタルトランスフォーメーションには課題も多かったという。そこでAppierと協業することを選択。同社のCrossX AIソリューションを導入した。ユーザーが、あるデバイス(たとえばスマートフォン)でカルフールのオンラインストアを訪問するとそのプロフィールを分析。AIにより、数十億というデータからユーザーが所有するデバイスを識別する。そして、
そのユーザーの使用する他のデバイス(たとえばPC)にも商品のリコメンドをすることで購入を促すことができるようになった。
AI分析から顧客理解を深める
AIによる分析から顧客理解をより深めることもできたという。メインとなる顧客の平均年齢は35~44歳。
カルフールがEC立ち上げ当初にターゲットと考えていたのは女性であったが、実はコンバージョンレートがより高いのは男性であることがわかった。また、食料・飲料、ニュース、ショッピング関連のWebサイトからカルフールのオンラインストアに訪れたユーザーがより積極的にアクションしていることも明らかになった。
クロスデバイスでのコンバージョン測定もできるようになった。具体的には、
クロスデバイスユーザーのCTRはシングルデバイスユーザーより87%高く、CVRは40%高いという測定結果を得ることができた。データの見える化は、社内のクロスデバイス対策への意識変革にもつながった。プレスコット氏は、「多くの顧客は、たとえば通勤途中に商品を検索して、実際のオンラインショッピングは家に帰ってから行うということをしていることがわかっています。複数のデバイスに着目するようになりました。複数デバイスを使う顧客に向けて、『今朝はこの商品をチェックしましたね』といったリマインダーを送るというアプローチで、購入の確率を上げる施策を行っています」と語る。
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