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2021年版:デジタルマーケティングのトレンド予測

2020年はあらゆる業界にとって、非常に困難な年でした。マーケティング部門にとっても例外ではありません。予算は全体的に削減され、パンデミックが消費者行動に大きな変化を引き起こしたため、かつてないほど迅速に対応することが求められました。回復力とデジタルトランスフォーメーション(DX)に重きが置かれ、デジタルファーストの企業が他を制しました。

新年に入ってもなお、企業は回復に集中しています。その中でマーケターにとって、俊敏性とデジタル投資は引き続き最優先事項です。Forresterによれば2021年は、すべての企業がテクノロジー主導の体験、オペレーション、製品、エコシステムを優先事項とする年になるだろうと予測しています。

前代未聞の時勢と、それに伴って浮動するデジタルマーケティングの市況の意味することは、マーケターには今まで以上に積極的なアプローチを仕掛けること、また、データとAIの普及やモバイルへのシフトなど、業界や消費者の動向に目を向ける必要があります。

2020年には、 ブランド企業の45%が明確に定義されたデジタルマーケティング計画を持っていませんでした。しかし、持つメリットどころか持たないことによるリスクまで顕在化している現在では、堅実な計画が不可欠です。

ゴールを設定し、どのチャネルが良い結果を出しているか、他に何を試せるかを特定し、既存の取り組みを最適化するなど、戦略の素案は、非常に重要です。ここでは、2021年に注目すべきトレンドと、その備えについて解説します。 

1. データと分析  

データに裏打ちされたマーケティングは、2021年も引き続き、競争優位性を高めることに役立つでしょう。大規模のデータを収集し、データ分析ツールを使用することで、ビジネスのあらゆる側面に関する貴重なインサイトを得ることができます。これらのインサイトによって企業のアクションは、より効率よく、より収益性の高いものになるでしょう。

2020年の不確実性を通じて明らかになったことの1つは、俊敏でなければならないということでした。様々なソースからのデータすべてを照合することで、顧客とブランドに共通の基盤を確立し、それに基づいた意思決定と顧客体験の向上を実現することができます。Gartnerの調査によると、調査対象となったCMOの73%が、2021年にデータ分析分野への増資を検討しているそうです。

予測分析も、2021年に成長を見込まれている分野です。グローバルでの予測分析に関する費用は2027年までに354億5000万USドルに達すると推定され、2020年から2027年にかけて21.9%の年平均成長率で伸長する見込みです。データと予測分析ツールを活用して、離脱率、コンバージョン率、生涯顧客価値などの指標を通して将来の顧客行動を予測し、より正確に顧客をターゲティングして、マーケティング予算を効率よく使用するのが、これからのスマートなマーケティング手法と言えるでしょう。GoogleがサードパーティーCookieのサポートを停止することで、ファーストパーティーデータを優先することが必要になってきます。さらに、データプライバシー問題は引き続き懸念であることから、データの透明性および、倫理的かつ法的に正しく収集・使用されていることを確認する必要があります。 

2. 動画マーケティング

2020年には、マーケターの92%が、動画がマーケティング戦略の重要な一部であると述べています。実際、動画は現在最も人気のあるコンテンツであり、プロモーション動画と、ストーリー性のあるコンテンツが人気です。

動画の人気は続いており、引き続き2021年においてもマーケターにとって優先度は高いと予測されます2022年までに世界のインターネットトラフィックの82%を動画が占めると予測している調査もあります。リーチの広さもさることながら、動画マーケターの80%は動画が直接売上に貢献したとし、89%が、一般的に見て費用対効果がよいと回答したそうです。

では、2021年に動画マーケティングを効果的に活用するにはどうすればよいでしょうか。オーディエンスのニーズに正しく応えることは、動画の速度と品質を確保することと同様に、非常に重要です。機械学習を活用すれば、クロスデバイスの経路を特定して、適切なデバイスに適切なタイミングで動画を配信することができます。さらにサードパーティーのトラッキングで、リアルタイムでの視認性を高めます。

予算の無駄使いを防ぐには、AIを活用しましょう。最も価値の高い動画ユーザーを特定し、さらに、同じテクノロジーによって動画広告の不正行為を特定し、実際のユーザーだけにコンテンツを表示します。その他の注目すべき動画トレンドは、ライブ動画や垂直動画や、ソーシャル動画アプリTikTokなどが挙げられます。  

3. オムニチャネル体験

マッキンゼーの調査によると、半数以上の消費者は購入する際に3~5チャネルを経由しているそうです。クロスチャネルキャンペーンの実施方法を理解し、それを最適化することは、2021年、ますます重要になりそうです。

2020年にPWCが提供したレポートによると、オムニチャネル体験に投資する企業の数が20%から80%に急増したそうです。さらにアドビは、堅牢なオムニチャネル戦略を持つ企業は、前年比10%の成長、平均注文金額の10%増加、コンバージョンの25%増加の傾向を示すと発表しました。真のオムニチャネルアプローチは、顧客をブランド戦略の中心に置きます。この考えは、人が、異なるプラットフォーム間で複数の方法でエンゲージするものであるということを認識しています。つまり、チャネルが競り合うのではなく、連係して動作する必要があります。

これを実現するには、まず、異なるチャネルのデータを統合して、全方位的な顧客視点を作成し、より優れたリアルタイムインサイトを収集する必要があります。次のステップでは、機械学習を使用してオウンドおよびサードパーティーのデータを活用して、デバイス間でのユーザーの買い物のパターン、好み、行動を学習し、価値を元にセグメント化します。これらのインサイトを使用してペルソナを微調整し、顧客のクロスチャネルのジャーニーと行動を予測し、価値の高いユーザーをターゲティングして、プロモーションやメッセージを顧客のライフサイクルに沿った内容にあわせて配信することで、ユーザー体験をシームレスなものにします。  

5. ソーシャルメディア広告と検索広告

ポストコロナにおいてはマーケティング予算は回復すると予想されており、Gartnerによれば、2021年にはCMOの74%がデジタル広告に、、66%は検索広告への予算の増額を検討しているそうです。

Googleの検索クエリの量が増え、毎日35億件以上の検索が行われていることを考えると、検索広告は理にかなっています。Wordstreamのベンチマーク統計によると、検索ネットワーク上の現在のコンバージョン率は4.4%であり、さらに増加しています。

同様に、ソーシャルチャネルも人気です。ソーシャル広告は引き続き効果的で、ソーシャル広告のインプレッション数は前年比で20%増加しています。

しかし、検索広告やソーシャルメディアプラットフォーム引き続き複雑です。試行錯誤を続けるのではなく、AI主導のセグメンテーションとキーワードターゲティングを使用して、オンラインユーザーをより緻密にターゲットして、広告を最適化すべきです。

ソーシャルメディア広告においてはAIを活用してユーザーの隠れた興味関心を明らかにし、広告応答性の最も高いユーザーを特定して、予測セグメンテーションを活用します。また、AIを使用してキーワードをグループ化して類似点を特定し、重複を最小限に抑え、リーチを最適化することもできます。

検索広告はAIを活用して、キーワードを最適化しましょう。どのキーワードが良いパフォーマンスを出し、どのキーワードが陳腐化しているかを検出し、それに応じてキーワードの使用を継続したり、停止したりして、継続的にキーワードを組み立て、最適化します。 

5. 顧客ジャーニーのマッピング

顧客ジャーニーを理解することは大きな差別化要因であり、そして、2021年はこれを実施する時です。最近の調査によると、顧客ジャーニーマップを作成してそれを活用している企業は競合他社を上回る可能性が2倍高くなっています。

顧客ジャーニーは、本質的に、顧客がブランドとやり取りするときに出会うすべてのタッチポイントの足し上げです。それはつまり、認知から購入まで、そしてそれ以降のロードマップとなります。

顧客ジャーニーを深く理解することで、コンバージョン率を向上させるだけではありません。マーケティング予算を最大化し、企業の印象と顧客体験を向上する体験を支援することにもつながります。

顧客ジャーニーやコンテンツマッピングからA/Bテスト、ペルソナ開発、アンケートまで、手法は多数あります。ただし、手動で実施すると、手間がかかり、時間がかかる場合があります。

AIと機械学習を活用したマーケティング自動化ツールは、ジャーニーをマッピングし、その間のすべての相互作用を分析して、意図と問題点を理解するのに役立ちます。また、データに基づいて最適な顧客ジャーニーを提案することもできます。 

6. パーソナライゼーション

パーソナライゼーションは長年にわたり、マーケティング戦略の重要な要素でした。データとAI技術の進歩により、パーソナライゼーションの実現がずっと容易になりました。まだ利用していないマーケターにとって2021年は、まさに開始に適した年になるでしょう。

パーソナライゼーションとは、個々の顧客に合わせてカスタムしたブランドメッセージとコンテンツを提供することです。メリットは数多いですが、エンゲージメントとロイヤリティの向上や不満の減少などが挙げられます。また、 Epsilonの調査によると、消費者の80%がパーソナライズされた体験を提供するブランドから購入する可能性が高いことを示唆しており、コンバージョンを増やすこともできます。

データ分析、AI、機械学習により、パーソナライゼーションだけでなく、大規模なハイパーパーソナライゼーションも可能になります。お持ちのデータからより実践的なインサイトを抽出することで、これらのテクノロジーは、コンテンツからキャンペーンの実施するタイミング、チャネル、クリエイティブまで、あらゆるものをカスタマイズするのに役立ちます。

Gartnerによると、あらゆる種類のオンラインパーソナライゼーションに投資するブランドは、競合他社を30%以上上回る可能性があります。  

7. モバイルマーケティング

デジタルマーケティングの未来はモバイルとともにあります。世界中には52億のユニークなモバイルユーザーがいて、すべてのインターネットトラフィックの52%以上がモバイルデバイスから来ています。したがって、顧客中心を追求するならば、今後はモバイルマーケティングを優先する必要があります。

2020年に目立ったモバイルマーケティングの特別な傾向の1つは、パンデミックの影響もあって、ソーシャルコマースを含むMコマースの普及でした。Statistaによると、2021年の小売EC全体売上の79%は、Mコマースを通じて生み出されると予想されています。

モバイル向けにチャネルを最適化することは、成功に不可欠です。ウェブサイトをモバイル対応にするだけでは不十分です。ナビゲーション、サイト検索、ロード時間も考慮して、期待値が高く、離脱しやすいモバイルユーザーに対応する必要があります。

また、パンデミックによって後押しされたもう1つの傾向が、モバイルアプリの使用とアプリコマースの増加で、今後も続くとみられています。取り残されないためには、アプリの確実な獲得、エンゲージメント、リテンション戦略を入念に準備する必要があります。

AIツールを使用すると、ユーザーの行動や興味関心に基づいて、高価値のアプリユーザーを特定できます。これらのインサイトを使用すると、適切なプッシュ通知やリマーケティングキャンペーンを適切なキーワードでタイムリーに提供し、獲得とコンバージョンを促進できます。また、AIツールを使用して、パーソナライズされたコンテンツを使用して既存のユーザーを適切にセグメント化し、ターゲティングして、ユーザーエンゲージメントを保持し続けることもできます。

ここで述べた傾向の多くは、パンデミックの前にすでに起こっていましたが、新型コロナ感染症はこれをさらに加速し、人々の考え方を根底から変えました。2021年は引き続き、予測のできない難しい年であり続けるかもしれませんが、ターゲットを絞ったデジタル投資、データとマーケティングテクノロジーの賢い利用、そして顧客中心主義を推し進めることで、今年のみならず今後のビジネスを、堅調に維持してゆくことができるようになるはずです。 

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