1対1のマイクロCRMプラットフォームを築くため、会話型マーケティングアプリケーションを構築する
高級車業界におけるデジタル化を先導するアウディ台湾は、3つの課題として、顧客サービスプラットフォームを運用するにあたり人件費が高いことや、マーケティングリターン(利益)の算出の難しさ、また即座にアクションに移すことができるデータインサイトが不足していることに直面していました。そこで、2018 年にアウディ台湾は、会話型マーケティングプラットフォーム「BotBonnie」を採用し、顧客とのコミュニケーションプラットフォームとして、台湾で95.7%の市場浸透率を誇るLINEを選択しました。同社は、チャットボットサービスと自動キーワード検出機能を使用して顧客にリアルタイムで返信し、カスタマーサービスセンターのコミュニケーション費用を効果的に削減しました。また、LINEのプラットフォームで新たな潜在顧客をより効率的に見つけ、デジタルフットプリントを追跡することが可能になりました。
車の所有者がアウディ台湾のメッセージング・プラットフォームに留まるよう促すため、同社はアウディ・チャットボットを立ち上げ、当チャットボットをブランド独自のCRM システムと連携させました。これにより、アウディ台湾の公式LINE アカウントが、潜在顧客と既存顧客を区別できるマイクロCRMプラットフォームへと変貌しました。ユーザーがLINEメニューを使用してチャットボットサービスを開けるようにしたことで、顧客とのより柔軟で便利なコミュニケーション方法を提供できるようになり、また、より充実したデジタル体験を構築し、顧客との関係性を深化させることができました。顧客がLINEプラットフォームを介したカスタマーサービスに慣れるにつれて、アウディ台湾は顧客維持率とエンゲージメントを向上させ、顧客価値の最適化も実現することに成功しました。
アウディ スマートアシスタント:パーソナライズされた体験でドライバーのロイヤリティを強化
アウディ台湾は、ブランドマーケティングとアフターサービスを統合するために、会話型マーケティングプラットフォーム「BotBonnie」を採用し、リアルタイムでの顧客サービスを提供するワンストップ型店舗を構築しました。同社は、LINE メッセージングプラットフォームを活用して、公式アカウントでアウディ・チャットボットを立ち上げ、このチャットボットにより、既存顧客と潜在顧客は、同ブランドの公式イベントに関する最新ニュースを受け取るだけでなく、試乗や中古車の購入、及びオンライン査定の予約ができるようになりました。また、アウディ車の所有者は1回タップするだけでチャットボットサービスを開くことができ、走行距離と次回の整備日を自動的に見積もることができ、当ボットから車の所有者にリマインダーが送信されることにより、オンラインで予約を取ることが可能となります。
アウディ台湾は、さらに長期のロイヤルティプログラムを構築しました。これは、車の所有者がアウディ・チャットボットを利用し、整備の予約を入れその予約を履行し、顧客満足度調査に回答するなど、アウディのカスタマーサービスを利用するたびに、アウディ・ポイントを獲得することができるというものです。なお、当ポイントは、アウディ限定商品と交換するために使用することができます。こうしたマーケティング施策により、同社は、自動車所有者の3分の1をLINEアカウントに引き込むことに成功し、自動車整備依頼の20% がアウディのチャットボット・プラットフォーム経由で受注したものとなりました。アウディ・チャットボットは、車の所有者の頼れるチャンネルとなったのです。
アウディ e-tronノート:e-tronのドライバーが互いに体験をシェアすることを促し、囲い込んだコミュニティを形成する
アウディ台湾は、台湾でのオール電気自動車の開発を積極的に推進してきました。その準備段階として、同社はEV車の所有者が走行距離を気にすることなく、より簡単に旅程を計画できるようにする方法を検討し始めました。それを念頭に、アウディ台湾はAppierと提携して「e旅 ノート(e-Travel Notes)」サービスを構築するに至りました。当サービスは、アウディのe-tronオーナーがコミュニティと共有できる専用スペースをつくるため、アウディ台湾のLINE プラットフォームと組み合わせて活用がされました。
「e旅ノート」を使用することで、車の所有者はアウディのオール電化コミュニティから最新ニュースを受け取ることができ、さらに、アウディチャットボットを活用し、出発地と目的地を入力することで旅行の提案が検索できるというものです。当該システムは、他のユーザーから提供された一致した旅程または類似の旅程を最大 10 件まで表示でき、ユーザーは1 回タップするだけでナビゲーション用のGoogle マップと連携することができます。その後、ユーザーは旅に出ることも、走行距離やバッテリー寿命、及び充電ステーションの経験といった旅の経験を共有することも可能です。コミュニティからの共有コンテンツとビッグデータ分析により、アウディ台湾はe-tron 所有者に幅広い旅行の提案を提供することができ、相互に有益な共有スペースを作り出することで、より安全な旅行を保証することができるようになりました。
同社は、ドライバー自身が経験を共有できるようにすることで、より多くのe-tron 所有者にコミュニティへ参加してもらい、バッテリー寿命や走行ルートの提案などの情報を得ることができました。これにより、車の所有者間での交流が一層深まっただけではなく、企業と顧客の間のコミュニケーションが広がりを増し、深化させることにもつながりました。アカウントをバインドしたe-tron 所有者の24% が、e旅ノート(e-Travel Notes)を使用して情報を検索したという結果が出ています。アウディ台湾にとり、e-tronシリーズは重要な開発分野であるため、より良いユーザー体験とコミュニティの形成の取り組みはとどまることを知りません。将来的には、AI 機械学習技術を使用して走行ルートのデータを分析し、より正確な道案内を実現すると共に、充電セッションを予めスケジュール設定できるようにすることも目指しています。最終的な目標は、e-tronシリーズの市場シェアを拡大することに据えています。
Appierと提携して顧客体験を最適化し、ドライバーと企業との関係性を深化させる
AppierのBotBonnieと4 年間にわたり協業したことで、アウディ台湾は長期のロイヤルティ プログラムを通じて、ロイヤルティの高い顧客グループを開拓することが出来ています。アウディ・チャットボットを使用し、車の整備の予約とポイントの獲得・交換を容易にすることで、同社は顧客の3 分の1からファーストパーティデータを取得することができました。その後、より良いコミュニケーションとサービスを提供するため、顧客のデジタルフットプリントと会話データを分析して統合することを実施しました。
BotBonnieチームが専門知識を有したことが、アウディ台湾がLINE プラットフォームを刷新し、サービスを差別化することへの一助となりました。自動車所有者のアカウントをバインド(連携)することや、ロイヤルティプログラムとメンテナンス予約などの主要サービスに注力することで、アウディ台湾は自動車業界で抜きん出る存在となることができたのです。一方、同社は顧客のニーズと市場動向を綿密にモニタリングし、BotBonnie チームとともにパーソナライズされたサービスの開発に取り組みました。これには、ユーザーのニーズを満たし、より多くの人々がアウディ・チャットボットを利用するよう訴求するe旅ノート(e-Travel Notes)などのアプリケーションも含まれています。
アウディ台湾のデジタル&ビジネス・スペシャリストであるKatherine Chang氏は、次のように述べています。「AppierのBotBonnieチームと協業して以来、当チームは最もプロフェッショナルなデジタルサービスコンサルタントであると言えます。BotBonnieチームは、コストと技術的な問題を考慮しながら、アウディのアイデアを実現するために役立つ専門的なアドバイスを提供し続け、常に迅速に対応することで、当社のニーズを満たしてくれています。将来、アウディ台湾は、フォーラムや、予めスケジュールされた充電セッションなど、BotBonnie を使用して優れたサービスを構築し続けることを目指しています。また、AI技術を活用して走行ルートデータを分析し、より正確な道案内をドライバーに提供したいとも考えています。目標は、ワンストップ型プラットフォームでより良いサービスを顧客に提供し、ロイヤルティとエンゲージメントを高めることです。」